

シブヤメグミ『懺悔の値打ちもない』(POCKET ROADSIDERS)
¥1,650 税込
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先日、息子の絵画がこども芸術展のようなものに展示されることになったので両親を誘って見に行った。その際、馴染みのある会館や公園、旧家を巡っているうちに両親と思い出話に花を咲かせる。やっぱり私は中学の教員に言われた「あなたの息子は私のこれまでの教員人生で出会ったなかで最も凶悪な生徒、このままいけば犯罪者になる」という言葉が忘れられへんわ、と呟いた。もちろん僕も同じ気持ちだ。いまでもあのときのことが夢にまで出てきて怒りに震え、目が覚めるときがある。けれどもある意味では小中学生時代に世の中の欺瞞、偽善、黙殺、ノリみたいなものを知れたおかげでいまの自分があるので、感謝してもいる。本書は著者の強烈な体験をもとに自らの血で書かれた本だと思う。痛々しいがしかし、ネガティブではない。きちんと自身を肯定し前を向いているのがわかるから寧ろ清々しい。「あいつが死んだ。嬉しい。たとえ地獄に落ちたとしても、私は、この気持ちにだけは絶対に嘘をつけない」という言葉には大きく頷いた。
以下info
新宿の片隅で秘密めいたバーを経営するシブヤメグミは「嵐を呼ぶ女」だ。ホストにホームレス、ミュージシャン、弁当屋のおやじにAV映画監督・・・・・・「このひとはいったいどうやってこんなに突拍子もない人間たちと出会って、いきなり親しくなってしまうんだろう」という積年の疑問が嵩じて、メールマガジンで「シブメグの人生小劇場」という連載をしてもらっているが、どんなすごいひとよりもすごい体験を、自分がずっと抱えたまま生きていることを最近知った。
実の母親が巻き込まれしゃぶり尽くされ食いちぎられた、どうしようもなく圧倒的に獣のような男の欲望人生を、餌食となった女たちがいま語り出す。読んでつまらないから三文小説と言うけれど、どんなに想像力が枯渇した小説家でも躊躇するような展開が現実に起こってしまうと、その圧倒的なリアリティに僕らは立ちすくむしかないのだった。
都築響一
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