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朱 喜哲 / バラバラな世界で共に生きる: リチャード・ローティの哲学
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例えば経済的に余裕のある人が仕事を受注する際に無料で引き受けたとする。するとそれがひとつの「善行」「正義」のエビデンスになってしまうことに経済的余裕のない者は危惧する。或いはローティの言うように「バザールとクラブ」を峻別し、公共的モードと私的モードとの言動を使い分けて良いとするならば、我々は何を信じて人と接すれば良いのか?本書の著者は前者の問題には正義には加害性や残酷性が含まれることを指摘し、後者の問題には「二枚舌」にならないように幾度となく自分たちの「言葉」を再定義し続けることの重要性を説く。そして何よりもローティのいう「哲学的な真理に到達することよりも日常的な会話を続ける」ことの尊さを掲げ、それには文学の役割、フィクションの力による感情教育が担う責任について慎重に言葉を重ねる態度に感銘を受けた。と、同時に自分の責任で往復書簡を中断したことを反省した。僕が最も敬愛する文学者サミュエル・ベケットも書いていた筈なのに、続けなくてはならない、言葉がある限りは、と。本年度屈指の人文書であり、会話を続けるためにも必読の一冊。
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