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東浩紀 / 平和と愚かさ
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東浩紀については賛否両論あると思うけれど、僕は『観光客の哲学』へと至る思考の変遷や、本書『平和と愚かさ』で論じられている問題定義には深く頷ける。これだけ多種多様な人間たちが各々で考え続けた先に争いが絶えないのであれば、いっそ考えない方がいい。しかしこれは闇雲に思考を放棄することではなく、考えないために考えることを意味している。それは漫画『僕のヒーローアカデミア』でホークスが語った「ヒーローが暇を持て余す世の中にしたいんです」(コミックス20巻参照)という言葉と同じ意味合いを持つ。何よりも共感できるのは氏が机上の空論を自らの手で崩壊させ、思考の爆心地となる現地に赴き対象と向き合うことで新たな「何か」を生み出そうとしていることだ。氏の言葉を借りるなら「哲学でも批評でも紀行文でもない」「新たな語彙と文体を開発する必要がある」ということ。この考えに僕は深く首肯する。ここで自分の話を持ち出すのはお為ごかしと言われるかもしれないけれど、まもなく刊行される自著『凹凸凹』もまさに「文学でも随筆でもルポルタージュでもない」新たな「小説」を指標して書き上げたのだから。いまの世に本書が出版された意味は大きい。各自「ヒーローが暇を持て余す社会」を目指して考え続けていきましょう。
「平和と愚かさは不可分に結びついている。平和とは考えないことが広く許されるということなのだから、それはすなわち愚かさが広く許されるということでもある。しかしひとは愚かだと悪をなす。だから平和は本質的に加害の可能性に結びついている」本書より抜粋。
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