

シカゴ・ハウス大全
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ここにあるのはロマンではない、ひたすらに物質、黒い塊のそれだけだ。無論ブラックミュージックの比喩として多用される黒さのことではない。ディガーにとって黒さとは物質、レコードそのもの以外にはありえない。例えば本書の寄稿者のひとり野田努の名著「ブラックマシンミュージック」を構成しているのは粒立ちの良いトピックスとそれらに付随するロマンチシズムであることはすでに社会的評価からも立証されている。それゆえに物質は置き去りにされる。それは「書かれている内容の衝撃を超えるレコードにはついぞ出会えなかった」という坂本慎太郎の言葉が如実に物語る。物語るという行為は過去を過大評価する。対する国家権力による事情聴取にはロマンの入り込む余地はない。警察官の手元にある調書からは徹底的に感情は排除され、物的証拠だけが列挙されるのだ。すなわち本書は手練の有識者たちによって夜な夜な紡がれた、シカゴハウスという事象についての調査内容を記載した文書と言えるだろう。こうして物的証拠が明るみに出たことにより、判決は早急に求められるだろう……か?否、すでに有識者たちの指先は黒く染まり、手元のレコードにはべったりと指紋が付着している。レコード屋やDJがレコードを顧みなくなれば、それはそのまま文化の衰退を意味するだろう。USB?笑止千万。もちろんそこは私には到底辿り着くことのできない深いミゾが刻まれている。本書は一億総DJ時代に於ける踏み絵となり得る一冊。縦に振った首に直接ナタを振り下ろす覚悟で、ミラーボールの下に聴衆は集う、シカゴハウスが産声をあげて40年後のいま……。
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